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此処に在る
ぎうぎうと地面を押し返し 歩く山の道。 次第に息は上り 身体はじわり熱を帯びていく。 縦横無尽に吹き付ける 肌刺す風に 耳は痛み 頭は冴える。 誰に頼まれたわけではない 望んだのは私なのだ。 愚かである ちっぽけである けれども 捨てたもんでもない。 そしてなおも まだ 人間である。 此処にあって良いのだ。 此処に在りたいのだ。 鼻を赤くし 登った頂。 天晴 今日も生きている。 Yumiko

shizenbiyori
3月2日


白の地平
寒空に無数の樹々は その幹をしならせ 堂々に吹く風を梳かしていく 目を閉じたのなら 寄せ返す波音のよう 地平を遠く遠くに どこまでも広げる 私は色を失い 熱を失う 私は重さを失い 形を失う そして やがて さらさらと さらさらとした 雪へと変わる 白の地平は 私は此処にいなかったことを 教えてくれる Yumiko

shizenbiyori
1月11日


蠍座の季節の調べ
「地を這う蠍は、やがて天を舞う崇高な存在の鷲となる」 蠍座の季節になると、必ず思い出すお話です。 もとは、錬金術の方面の話であるようなのですが、 ひとつの生命が変容を遂げ昇華されいく様に、 人間の限りない可能性が秘められているようで、 美しい希望を感じます。 そして、冒頭の歌詞がまるでそのままであるからでしょう。 このお話と連なるように思い出す歌があります。 「星めぐりの歌」 紺碧の帳に、順繰り星図が浮かび上がる感じが好きで、 夜の深まり増すこの時期、気が付くと、よく口ずさんでいる歌です。 ご存じの方も多いと思いますが、今日は、この歌をご紹介させてください。 あかいめだまの さそり ひろげた鷲の つばさ あをいめだまの 小いぬ、 ひかりのへびの とぐろ。 オリオンは高く うたひ つゆとしもとを おとす、 アンドロメダの くもは さかなのくちの かたち。 大ぐまのあしを きたに 五つのばした ところ。 小熊のひたいの うへは そらのめぐりの めあて。 宮澤賢治 「星めぐりの歌」 Yumiko

shizenbiyori
2025年10月27日


朝のルーティーン
目覚めたらまず、 静かな呼吸をひとつ まだ夜の余韻が残る体に 光が通る道をつくるように 私はただ在る 整い、透明で、柔らかく それだけで光は流れはじめる 声も動きも沈黙も 波動として世界に届く 今日、何を「する」のではなく どれだけ「在る」ことができるか 流れを感じながら...

Makiko Kurata
2025年9月14日


乾きと潤いがめぐり合うところ
私はなぜ、いつも同じ景色にたどり着くのだろう? 花は散っては咲き、 月は欠けては満ちる。 私の前にもまた、 乾いた大地のような繰り返しが現れる。 このパターンは罠ではなく、 雨を待つ大地に注がれる光のようなものかもしれない。 いま触れようとしている渇きは、...

Makiko Kurata
2025年8月18日


名もなき王女の見えない王国
風が 何かを知らせに来た朝 まだ名も知らぬ わたしが この世界に ひとしずく落ちた 光は覚えていたけど 言葉が ついてこなかった 「やさしい子ね」 「えらいね」 「わかってるね」 誰かの期待のなかで わたしは 誰かを演じていた 笑えば褒められ 沈めば心配される...

Makiko Kurata
2025年8月9日


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